茶と季節、そのしつらえを通して茶の湯の基本とさまざまな日本文化との関わりを知り、そして薄茶の点前を習得し茶事を体験します。己月会オリジナルの初心者のためのプログラム「茶楽」。
八月/葉月の茶
八月を葉月(はづき)と呼びますが、月見月(つきみづき)の別名もあります。暦的には秋が間近な月で、「葉落ち月」から「葉月」と呼ばれるようになっともいわれています。
二十四節気(にじゅうしせっき)でも、八月に入るとすぐに「立秋(りっしゅう 8月7日頃)」で、秋の気配が感じる頃とされています。
立秋の翌日からの暑さを「残暑」といい、この時期から暑中見舞いではなく、残暑見舞いになりますのでご注意を。
8月23日頃には、暑さも峠を越えるとして、「処暑(しょしょ)」を迎えますが、近年ではこれからが残暑の最も厳しい季節です。しかし野の草花に目を向けると確かに秋はすぐそこに来ているのが分かります。
洗い茶巾など暑さを趣向に変え、また微かな季節の変化を趣として取り入れていく、茶の湯ならでわの感性を日々の暮らしの中に活かしていきたいものです。
葉月の点前「洗い茶巾」
水を張った平茶碗に茶巾を入れ、点前の中で茶巾を水の中から引き上げ、絞る。その時々の水の音を聞く。
洗い茶巾は、茶室に清と涼をよぶ夏の薄茶の点前です。
茶巾を引き上げるときはゆっくりと、茶巾から自然に水が下たる音を聞きます。しぼる時もゆっくりと、建水に水をこぼすときはいつもより高い位置から注ぐように。建水は唐銅や口の広いものを用います。
茶巾から下たる水の音、しぼりの滴の音、建水にこぼす水の音、この三つの異なる水音が、清らかさと涼を感じさせてくれる、夏ならではの点前です。
平茶碗 So-U作 2005
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茶の湯 二十四節気 学びのハンドブック 『茶、こころの時間』(改訂版) 著:佐藤 宗雄
香道、華道、能などの日本文化と茶の湯の関わりをはじめ、二十四節気の茶の湯のしつらえと持て成しをこころテーマに解説。メモページがあるので稽古の整理や指導に活用できます。
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茶楽 其ノ五
茶の湯と点前
茶の湯の清
茶の湯の精神といわれている
和敬清寂の「清」は清潔と整頓を表しています。戦に明け暮れていた戦国の頃を思えば、清潔であるということは大変な努力を要したものと創造できます。
その時代にあって、清浄であることをことのほか重視していたのが茶の湯です。清浄を表現するものとして特に水が重要な役割を持っていました。露地には自然の流水が引かれ、飛び石に打ち水が施され、茶席には花が生けられ、水で清められた茶道具が運び出される...、茶の湯の隅々に清らかさを重視したことがうかがわれます。乱世だからこそなおさら、そうであったのだと思われます。
利休の歌に、水で清められた露地の意味合いを簡潔に伝えたものとして、以下の有名な歌があります。
露地はただ
浮き世の外の道なるに
こころの塵を
なぞ散らすらむ
心身を清くすること、また、茶席のすべてが清浄であることの大切さを感じとることができます。
茶の湯のさまざまな場面で登場する水には、儀礼的な要素が強く表れています。茶の湯は水を基本とする芸道といっても過言ではありません。
「
茶の湯の音」でも書きましたが、茶筅通しの音は、真言密教の灑水(しゃすい)が由来といわれてます。灑水とは香水(こうずい)と呼ばれる香を入れた水=清浄な水を仏具などにかけ、煩悩やけがれを浄めてから儀式をとり行うことで、茶の湯では、この水による浄めの儀式(茶筅通し)を終え、それから茶を点てるのです。
「清」を旨とする茶の湯において、心身の「清浄」そのものとして、これらの水を扱いたいものです。
八月の稽古 茶を頂くということ
茶席の禅語
行雲流水(こううんりゅうすい)
空を行く雲も流れる水も、こだわりなぞ、なにももっていない。
ただ、自然の成り行きに任せているだけ。禅の修行僧を雲水と呼ぶのは、この句が語源とも。
話:茶の湯の水について
1.感謝して頂く
2.亭主の思いを頂く
3.拝見
葉月の茶碗 銘:寂水 So-U作
厳しい熱さの中で、涼しさを運んでくれる平茶碗でどうぞ!
平茶碗は盛夏の頃に用いられるので、夏茶碗ともいいます。
2012.5追記 2021.6追記
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指導 裏千家茶の湯 己月会主宰:佐藤 宗雄(So-U)
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