茶と季節、そのしつらえを通して茶の湯の基本とさまざまな日本文化との関わりを知り、そして薄茶の点前を習得し茶事を体験します。己月会オリジナルの初心者のためのプログラム「茶楽」。
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十二月/師走の茶
十二月は、師走(しわす)と呼ばれ、一説には僧侶が仏事で走り回る忙しさ=師馳す、からという説があります。年末となると、忙しくなくとも何となく気が急かされます。長い夜に時の流れを意識しゆっくりと過ごす、そんな余裕を持ちたいものです。
茶の湯ではこの頃、夕暮れを待って、夜咄(よばなし)の茶事が行われます。
二十四節気(にじゅうしせっき)では、12月7日頃が「大雪(たいせつ)」。大雪が降る頃という意味ですが、太平洋側では空っ風の晴天の日が続くことが多く、大雪になることはあまりありません。翌日の8日は「事八日」と呼び、農事を終えるということから「事納め」といわれます。逆に「事始め」とする地方もあります。
12月22日頃を「冬至(とうじ)」。北半球では、この日に一年の間で昼が最も短く、夜が最も長くなるなります。本格的な冬の到来です。
師走の点前
夜が長くなってきたこの頃の茶事は、
夜咄(よばなし)。夕食を共にし、一年を振り返りゆっくりと語り合う夜咄の茶事は夕暮れの5時頃から。
露地は灯籠(行灯)の灯りが浮き上がり、手燭(持ち歩きように柄をつけた燭台)を頼りに茶室に向かう...夜、寒、闇、マイナスとも思えるものを巧みに利用した茶の湯ならではの風情を感じさせてくれる茶事です。
温かいものは、温かいように…..。当たり前のことが持てなしの第一歩。しかし、このようなさりげないこころ配りは簡単なようでとても難しい。まずは、こころの持ち方を身につけることからはじめましょう。
稽古においても作法だけに囚われるのではなく、同胞や客人への心遣いをこころの真ん中におくことが大切です。
茶楽 其ノ九
茶の湯と型
能の影響と型
茶会などに招かれたとき、お茶を運んでくれる人の歩き方に特長があることに気づきます。畳から離れるようで離れない、「摺り足(すりあし)」という足の運びです。
この畳の上を滑らすように歩く足の運びは、一説には能の所作からきたと言われています。また、利休のころは、正座ではなく片膝を立てて茶を飲んだり、安座という楽な姿勢をとったりしていたそうです。この片膝立ての座り方は能のシテ方(能の主人公)やワキ方が控える姿勢です。
わび茶の創始者といわれる村田珠光(禅僧:珠光)は、連歌や立花(たてはな)などの芸能者たちと交流があり、中に金春禅鳳(こんぱる ぜんぽう)という能楽師がいたことが知られています。この頃の武家社会で教養とされていた「能」の要素を茶の湯に取り入れたとしても不思議なことではないと考えられます。また、茶の湯の全盛期、織田信長は「能」に対して好意的だったこと、豊臣秀吉はさらに熱狂的な愛好家だったことは有名な話です。
薪能(たきぎのう)などで知られる日本を代表するこの古典芸能「能」は、日本古来の芸能、田楽(でんがく)と呼ばれる田植え踊りなどの影響を受け、室町時代、観阿弥(1333-1384)に始まり、その息子『風姿花伝(花伝書)』の著者、世阿弥が大成したと言われています。その大きな特長は、所作、謡、囃子、全てにさまざな「型」があることで、その型の基本は摺り足であると言われています。
「型」の捉え方や解釈にはさまざまありますが、能のように動きのある芸能を習得し継承するためには、文章で伝えるよりカタチをまねする方が有効的であり、そのために発達した鍛錬法ではないかと考えられます。さらに「型」にはそれぞれに意味が込められていて、型を習得することでその意味をも体得できるようになっているのです。
日本の芸能を学ぶとき「やりかたをまねなさい」「いわれるとおりに」と言われます。まずは型を身につけることを要求されるのです。茶道も同じで、点前にはさまざまな型があり、型を納めることで知らないうちにその型が伝える心を理解し、精神的も高まるようになっています。
日本文化は「型の文化」とも言われます。理論や概念を超えて、「型」だからこそ継承できるものがあるのです。
2018.10加筆 2021.5追記 佐藤 宗雄
十二月の稽古
持てなし-2
茶席の禅語
庭寒月色深 (にわさむくしてげっしょくふかし)
真冬の空は寒くてたまらないが、月のひかりはどの時期より美しい。
話:持てなしについて2
1.「持てなす」こととは
2.一つひとつの点前の中で
3.礼の意味を感じる
師走の茶碗 銘:水煙 So-U作
心まで温めれくれる、とっぷりとした茶碗でどうぞ!
大きめの茶碗はこころを豊かにしてくれます。
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指導 裏千家茶の湯 己月会主宰:佐藤 宗雄(So-U)
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