皐月 四季の茶 茶と季節、そのしつらえを通して茶の湯の基本とさまざまな日本文化との関わりを知り、そして薄茶の点前を習得し茶事を体験します。己月会オリジナルの初心者のためのプログラム「茶楽」。

はなみづき 五月/皐月の茶

皐月は、田植えをする月「早苗月(さなへづき)」から「さつき」になったといわれています。もともとは五月と書いて「さつき」と読んでいました。また「皐月」といえば、サツキツツジの名前、サツキツツジはこの時期一斉に咲き揃うのでこの名前がついたといわれています。
花々や若葉を渡る風「薫風(くんぷう)」さわやかで、過ごしやすい陽気になってきます。ゴールデンウィークや子どもの日、母の日など家族一緒の機会が増えるのもこの頃。慌ただしい日常を離れて、家族それぞれがお互いのことを思い合う時を大切にしたいものです。

二十四節気(にじゅうしせっき)では、立夏(りっか 5月6日頃)、小満(しょうまん 5月21日頃)の時期にあたります。茶摘み歌の「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る〜」とは、立春から88日目の5月2日頃で、この歌の「夏」は二十四節気の立夏のことを指しています。


皐月の点前
風炉 青空に向かって勢いよく茂る若葉がいのちの輝きを感じさせてくれる五月。五月は初風炉。
茶の湯では五月から十月までは風炉の季節、十一月から四月が炉となりますが、わび茶が体系化される以前は一年を通して風炉が用いられていました。この風炉を基本として、茶の作法の原型ができているといわれています。茶の基本である風炉の点前をしっかりと身に付け、同時に清々しいお茶を点てることを心がけたいものです。
この時期は、五節句の一つ「端午の節句」にちなみ、矢羽根や兜などの茶道具が用いられます。

唐銅風炉
五徳を使わず直接風炉の口に釜をかける「切合(きりあわせ)」の唐銅の釜。乳足、鐶付が鬼の顔の鬼面風炉(きめんぶろ)は、真正の風炉とされ「台子」に用いられる。



茶楽 其ノ二
茶の湯と季節について

五感で季節を感じる茶の湯の仕組み

茶の湯では、炉の構えで夏と冬を分け、点前や茶道具、香、花、掛け軸、菓子に五節句や二十四節気などのモチーフを取り入れて、季節の移りを一つの美の要素として茶席をしつらえます。
例えば、春は蕨や土筆、桜など、いのちの息吹を表した道具を取り合わせ、夏には水をテーマに名水点や洗い茶巾の点前、水差しは青々とした葉蓋などが用いられます。秋には紅葉や月など自然の移ろいを意識し、風炉終いの名残(なごり)を楽しみ、冬は炭火、湯の温もりを大切に筒の茶碗を用いたり、夜咄(よばなし)の茶事などが行われます。
さらに茶席の香は、夏は爽やかな香りの香木を、冬はこころ落ち着く練り香を炊きます。このようのに、見る、触る、嗅ぐ、味わう、聞くという五感を意識した季節のしつらえ=日本人の美意識こそが茶の湯の季節感の特長ともいえます。

風炉と炉
五月から十一月の立冬(11月8日頃)前後までの風炉と、十一月から四月までの炉で季節を大きく別けていますが、炉がない茶室では一年中風炉を用います。このことからも風炉の点前が茶の湯の基本ということがわかります。炉は中国から渡ってきた風炉とは異なり、わび茶の成立の中で囲炉裏が変化したもので、村田珠光がはじめて茶室に取り入れ、利休が完成させたと伝えられています。

香木と練り香
風炉の時期の香は、伽羅(きゃら)、沈香、白檀の香木を用い、香合は漆器や木地・竹などでつられたものを合わせます。香炉で用いる時は、直接炊かず雲母の薄板に金銀の縁をつけた「銀葉(ぎんよう)」に乗せて炭火の上に置きます。炉では香木や香料を粉末状し蜜や炭の粉を練り固めた「練り香」を用います。香合は陶器や磁器製のものを。

季節の茶道具
茶の湯の花入れは、仏具の具足の花入れがはじまりとされ、唐銅(からかね)のもが主でした。その後、陶磁器、竹(たけ)・籠(かご)などが用いられるようになります。籠の花入れはその姿の涼しさからも風炉の時期に良く用いられるものの一つです。
花入れは、季節というより生ける花によって変わりますが、茶花は時期のものを生けるわけですから、花入れは時期によって変わるということになります。また、点前によっても異なりますので、同じものを用いたとしても時期に合わせた趣向(演出)を心がけます。

茶碗にも夏使用のものがあります。口が広く浅い平茶碗というもので主に夏に用いるので夏茶碗とも呼ばれます。この時期、水差しにも口が広いものや桶など涼やかに水を感じさせるものが多く用いられます。

しかし、あまりにも道具のみにこだわり、道具の取り合わせだけで季節を表す傾向があるのも事実です。
平茶碗 自作の夏茶碗:ひるがお
「茶の湯とわたしの器」So-U茶器作品
現代の生活では忘れがちな季節の移ろい(風、光、水、土そして花や葉など自然の変化)を意識してしつらえることで、自然の恵みやエコロジカルな生活を顧みる...そしてそのひと時を主客で共有するという茶の湯の教えを大切にしたいものです。
これも「楽茶」のテーマの一つです。

■五月の稽古
  基本を知る
  薫風(くんぷう)温和な風のなかで自然の恵みを知る
  禅語「薫風自南来」薫風は南より来たる
  話:季節と茶の湯の風景
  1.立ち振る舞いと礼節を身につける
  2.袱紗さばき
  3.薄茶を人のために点てる、薄茶を頂く

2012.5追記 2017.9追記


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